【栄養士が語る】今、話題の新栄養療法「オーソモレキュラー」とは?

2017. 09. 16
監修:吉川圭美 栄養士・栄養カウンセラー・ライター
5年前、取材で出会った分子整合栄養医学(オーソモレキュラー)に魅了され資格を取得。「毎日を楽しく、ゴキゲンに過ごすための栄養」をキーワードに、栄養のおもしろさをわかりやすくアウトプットするため活動中。

実践する医師や栄養カウンセラーの著書が人気となったり、ドクター監修のレストランがオープンして数々のメディアで取り上げられたりと、なにかと話題になっている「オーソモレキュラー」。

多くの人にとっては耳慣れない言葉かもしれませんが、美容系クリニックで目にする「高濃度ビタミンC点滴」はこの考え方を応用したもの。

私たちの身のまわりに少しずつ登場しはじめているオーソモレキュラー療法について、解説してみましょう。

オーソモレキュラーとは?


オーソモレキュラー栄養療法とは、日本では「分子整合栄養医学」「分子栄養学」ともいわれているメソッド。

1960年代にこの言葉が誕生し、アメリカのノーベル賞受賞化学者、ライナス・ポーリング博士、カナダの精神科医、エイブラム・ホッファー博士らによって確立されました。

その後も多くの研究者の手によって発展が続いています。

日本でも2000年代からオーソモレキュラー専門クリニックが登場し、ドクターの間でも少しずつ広まっています。

考え方の基本はとてもシンプル。

栄養で全身の細胞ひとつひとつを元気にしていく、というものです。

そもそも、私たちの身体にある60兆個の細胞は、食べたもの(に含まれる栄養)からできています。

しかし、生活習慣やストレス、食の乱れといった理由から、細胞に必要な栄養が適切に行き届かず、不調や病気といったトラブルを引き起こしやすくなります。

この、栄養バランスの乱れを細胞レベルでチェックし、栄養素を使って整えていくのがオーソモレキュラーの基本的な考え方です。

細胞自体、あるいは細胞が活動するために欠かせない材料をきちんととることで全身の細胞のパフォーマンスが向上し、自己治癒力が高まるのはもちろん、不調をやわらげたり、病気を防いだり、さらには美容やアンチエイジングに関する変化も期待できます。

医療機関でサプリを処方!どんな治療法?

オーソモレキュラー療法では、薬ではなくサプリメントを使って治療を行うのも特徴です。

両者はそれぞれ役割が違い、その特性を利用して治療を行っていくのです。

その違いは、よく火事にたとえられます。

例えば家が火事になったことをイメージしてみてください。

必要なのは、

①とにかく火を消すこと

②燃やされた家を元通りにするために木材などの材料を調達すること

の2つとなります。

この火事を、人間が風邪をひいた状態に当てはめてみると、

①症状をやわらげるのに必要なのが「薬」

②いたんだ細胞を修復するために必要な材料(「サプリメント」も含む栄養)

を調達することとなります。

また、体内の細胞すべてがファンクショナル(機能的)にはたらくための栄養素の量は人によって大きく違うため、個人に合った量をチャージするのもオーソモレキュラーの特徴です。

ひとりひとりの身体の状態を知るために行うのが血液検査です。

通常、病院で行う検査項目より数倍もの項目のデータを取り、オーソモレキュラー的観点から栄養素の過不足、代謝の状況などをチェック。

その上で、必要な栄養素を補ったり減らすためのアドバイスを行っていきます。

どんな疾患の治療に使われている?

オーソモレキュラーで扱う疾患は実に多彩。

肥満改善から低血糖、うつ、疲れやだるさ、ふらつきといった不定愁訴、皮膚トラブルまで、さまざまな不調をやわらげるために用いられているオーソモレキュラー。

内科から心療内科、産婦人科、小児科、歯科、美容外科に至るまで、全国のさまざまな医療機関でこの理論を活用した治療が行われています。

とくにメンタル不調に多く用いられるのも注目すべきポイントです。

たとえばうつを例に挙げてみましょう。

私たちの脳内で心の状態や感情を生み出している物質「神経伝達物質」は、タンパク質、ビタミンB群、鉄などをもとに体内でつくられているため、これらが不足すると心のバランスが崩れてしまうことにつながります。

とくに鉄は不足しやすいのですが、足りなくなると心に落ち着きをもたらす「セロトニン」が不足し、うつになりやすくなると考えられています。

妊娠、出産で多くの鉄を失った女性がうつになる「産後うつ」もそのひとつ。

実際、鉄不足を解消することでうつやパニック障害などが改善し、少しずつ薬を減らしていくことができたというケースも数多くあります。

話題の「糖質制限」も! オーソモレキュラーの考える理想の食生活


オーソモレキュラーでベースとなる食生活が「高タンパク・低糖質」。

スイーツやごはん、パンといった糖質の多いものは、血糖値の急上昇や急降下を起こしやすく、身体に負担をかけてしまうためできるだけ控えます。

かわりに、身体ひとつひとつの細胞を作るための材料となるタンパク質をしっかりとる、というものです。

タンパク質の多い肉や魚、卵、大豆製品をとることでビタミンやミネラルのチャージにもつながり、身体の機能を整えるのはもちろん、抗酸化、抗糖化にもつながります。

このほか、良質な脂をとる、腸内環境をよくする、グルテン&カゼインフリー、アルコール・カフェインは控えめにする、添加物への注意、など配慮したい食事についてはさまざまありますが、まずはタンパク質をメインに、糖質を控えめにするところからはじめてみるとよいでしょう。

※グルテン…小麦などの穀物に含まれるタンパク質
※カゼイン…牛乳に含まれるタンパク質

実にさまざまなところで耳にする「医食同源」。

「身体は食べたものでつくられる」という言葉。

これを西洋医学的に理論・体系づけたのがオーソモレキュラー療法ではないか、と私は感じています。

まとめ

全身の細胞に栄養が満ちていくスピードは決してスピーディーではありませんが、足りてくると、「こんなに朝からキレよく動けるんだな」「凹むような出来事があっても、こんなに早く気持ちがリセットできるようになるんだな」と自分の細胞のポテンシャルに改めて驚かされます。

栄養を通してファンクショナルな身体と心を手に入れることのできるオーソモレキュラー療法。

現代をタフに、健康的に、美しく生きていきたい女性にふさわしい健康づくりのメソッドといえるでしょう。

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監修:吉川圭美 栄養士・栄養カウンセラー・ライター
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