【美容皮膚科医が語る】免疫力と肌の密接な関係

2017. 10. 19
師井美樹
監修:師井美樹 医師・師井美樹クリニック 院長
美容医療に携わって12年、1人1人のお悩みをしっかり伺い、その方に合った治療法をご提案。メディアへの出演、執筆も行う。 皮膚科学、美容医療の知識と経験を常にアップデートしながらフル稼働し、出会ったすべての方が肌ストレスから解放されるお手伝いをいたします。

私たちの体が、たくさんの外敵やウィルス、病原菌にさらされている中、毎日元気に過ごすことができるのは体内の「免疫力」という働きのおかげです。

お肌にお悩みがあり、肌に良いことをしてみようと思っているなら、この機会に免疫力について着目してみてください。

高価なお化粧品やエステよりも、今の自分の免疫力をアップすることが美肌への近道かもしれません。

お肌は人の体を包む最も大きな臓器とも言われ、健康状態を表すバロメーターです。

フェイスラインに吹き出物ができたらストレスをため込んでいる、または栄養欠乏状態。

口周りの肌荒れはビタミンやミネラルの欠乏、免疫力の低下が原因。

便秘の時は肌荒れしやすい。…など、お肌は体の不調を映し出す鏡のような存在なのです。

ここでは、お肌と「免疫力」の関係について見ていきましょう。

私たちの体を守る免疫力とは

免疫力とは一言で表すと、体を守る自己防衛機能のことです。

実はその仕組みはとても複雑で、いくつもの防御細胞がチームを組み、第一陣、第二陣、第三陣と幾重にも層を成して徹底的に外敵の侵入を防いでいます。

その防御細胞の要となるのが白血球で、体へダメージを与える因子に対して徹底抗戦しています。

まずはその仕組みを詳しく探ってみましょう。

細菌やウィルス、花粉などの有害物質が体内に侵入すると、白血球の中のマクロファージがアメーバの様に外敵を包み込み、顆粒球がさらに強力に外敵と戦い、それでも尚、生き残った外敵をリンパ球が他の免疫細胞とタッグを組んで撃退していきます。

これでもか!というほど、体は外敵の侵入を防御するためにとことん戦い尽くします。

そして、一度侵入した外敵の情報をしっかりと記憶し、再び侵入してきた時のために備える機能も免疫細胞の仕事です。

これを獲得免疫と言い、おたふく風邪は一度しかからないといわれるように、2回目以降は抗体ができて発症しづらくなる機能です。

しかし体の免疫力が低下するとこの働きが弱くなり、元気な時は撃退できた外敵に負けてしまう回数が増えていきます。

疲れやすい、風邪を引きやすいなどは免疫力が低下している証拠です。

また免疫力が正常に機能せず、異常反応を起こしている時は、アトピーやアレルギーなどの症状がみられます。

免疫力が低下すると肌にも影響が…

免疫細胞の仕事は、体内だけでなくお肌にも大切な役割を果たします。

日焼けや乾燥、急激な温度の変化、大気汚染などの外的要因で、有害物質がお肌に侵入しようとする時に、ランゲルハンス細胞という防衛機能がその情報をキャッチし、自らも防御しながら他の免疫細胞に指令を出します。

免疫力が低下することにより、湿疹や皮膚炎が起こりやすくなります。

皮膚炎を繰り返しているうちに、シミ、シワ、くすみなど肌へのダメージが起こりやすくなってしまいます。

それに加えて、健康な状態では運ばれてくるはずのお肌に必要な栄養素が、免疫力の低下により十分に供給されなくなってしまうのです。

免疫力が低下する原因とは?

免疫力を常に高い状態に保つことが健康にも美容にもとても重要なことがわかりました。

では、私たちの体はどんなことがきっかけで免疫力が下がってしまうのでしょうか?

気をつけておきたいポイントをいくつかおさえておきましょう。

① ストレスは万病の元

忙しい毎日を送っている現代人はたくさんのストレスを抱えています。

そのストレスによる睡眠不足や乱れた食生活、精神的なイライラなどで体と心がリラックスできていない状態が続くことは免疫力の低下につながります。

このような状態が続くと、体に疲労が溜まり体が受けるストレスに対抗しようと副腎からコルチゾールというホルモンが分泌され、コルチゾールは免疫細胞の働きを弱めます。

② 運動不足

日常の中で毎日少しずつでも体を動かす時間が取れる、という人はとても少ないのが現実です。

わかっているけれど、ついつい後回しにしがちなのが運動です。

適度な運動は免疫細胞の活動を活発にさせる効果があり、健康の維持にもとても効果的です。

激しい運動ではなく、エスカレーターより階段の昇降、一つ前の駅で降りて歩く、などでも十分です。

③ 腸内環境からの影響

腸内環境の状態が免疫力にとても大きな影響を及ぼします。

腸は免疫の7割を担っているとも言われており、免疫細胞の6割以上が腸の中に存在することがわかっています。

バランスの悪い食生活やストレスは悪玉菌の数を増やし、免疫細胞の活動の妨げになってしまうため、自分自身の腸内環境には常に関心を持っておく必要があります。

④ 加齢による低下

免疫力は20代をピークに徐々に低下していきます。40代以降は加速度的に減少します。

さらに高齢者になると免疫力が低下してしまったことにより、些細なことで体調を崩しやすく、風邪を引いただけでも命に関わる状態になってしまう可能性も高まってきます。

加齢ばかりは絶対に回避することはできません。

生活習慣などから免疫力維持のための努力をすることで、少しでも老化のスピードを和らげるしかないのです。

免疫力をアップさせる方法

まず第一に、食生活の改善は、腸内環境の向上にもつながるので見直しが必要です。

たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど栄養素をしっかり摂ることはもちろんですが、女性にとってはネバネバ食品もとてもおすすめです。

納豆やモロヘイヤ、オクラ、ヤマイモ、メカブなど糸を引く食材には、ムチンという栄養素が含まれています。

粘膜の機能を高めて腸内環境も整えることで免疫力アップ、さらに、たんぱく質の吸収も高めるので、たんぱく質を原料とするお肌にも髪にも良いこと間違いなし、というわけです。

また、アミノ酸の一種であるグルタミンは免疫細胞のエネルギー源になります。海藻、大豆、肉、魚、卵、チーズなどに多く含まれています。

そのほか腸内環境を整える食べ物としては、食物繊維を含むもの、発酵食品、青魚に含まれる必須脂肪酸がおすすめです。

DEAやEPAなど魚に含まれるオメガ3系の油は、腸の炎症を抑える効果があります。

また忘れてはならないのが、免疫力と体温の関係です。

体温が低下すると免疫細胞の働きが悪くなることがわかっています。

近年、低体温症の女性がとても増えており、35度代が平熱という場合は要注意です。

冷たいものを避ける、甘いものを取りすぎない、良質のたんぱく質を摂って筋肉の量を増やすなど、とにかく体を冷やさないことを心がけましょう。

特に油断しやすいのが夏です。夏冷えといって、薄着の状態でエアコンの効いた室内に長時間いることで気づかないうちに体が芯まで冷えてしまいます。

その状態で冬を迎えると、さらに深刻な体の冷えを引き起こしてしまいます。

夏でも涼しい室内では、膝掛けを活用する、靴下の重ね履きをするなど、特に下半身を積極的に温めるよう心がけましょう。

まとめ

若い頃は元気に働いていた免疫細胞たちも、年と共に元気がなくなり力が弱まってしまうため、意識して免疫細胞にパワーを与える体づくりをしていかなくてはなりません。

免疫力の高い健康な体は美肌への絶対条件ともいえるでしょう。

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