この女性はいったいいくつだろうか、と首をひねった経験は、誰もが持っているのではないでしょうか。
若く見える年齢不詳の女性は、いったいどんなスキンケアしているのか気になりますよね。
実は、高い化粧品を使っている、ということではなく食事で摂り入れる栄養に気を配っているのかもしれません。
「若返りのビタミン」とまで呼ばれる、強力な抗酸化作用を持つビタミンがあります。
それはビタミンEです。
年齢不詳の理由は、実はこれかもしれません。
ビタミンEはこんな栄養素
ビタミンは、体の調子を整え、他の栄養素や酵素の働きを助ける体の健康には欠かせない栄養素です。
ビタミンは全部で13種類あり、水で流れ落ちず油に溶け、油脂と一緒に吸収され体内に貯めておける「脂溶性ビタミン」と、水に溶けて尿に排出されるために毎日食品から摂取する必要がある「水溶性ビタミン」に分けることができます。
脂溶性ビタミンには、ビタミンA、D、E、Kの4種類が含まれ、水溶性ビタミンにはビタミンC、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの9種類が含まれます。
ビタミンEは、脂溶性ビタミンに分けられます。
全身の細胞の細胞膜に存在していて、体内の脂質の酸化を防ぐことで、細胞膜の老化や血液中の善玉コレステロールの酸化を防ぎ、老化を予防する働きに優れています。
これらの酸化を防ぐ働きを抗酸化作用と言います。
ビタミンEは、この抗酸化作用に優れたビタミンで「若返りのビタミン」とも呼ばれています。
若返り効果あり!?ビタミンEの働き
「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンEは、強い抗酸化作用を持ち、いつまでも若々しくありたい女性ならぜひとも摂取したい栄養素です。
ビタミンEの働きの中でも、血流促進と女性ホルモンを整える働きは、女性の美容と健康には欠かせないもの。
血液は、全身の細胞の新陳代謝に必要な栄養と酸素を届けています。美容と健康のためには血流を良くすることが必要不可欠なのです。
血液がせっせと栄養と酸素を届けると、細胞の新陳代謝、つまり若返りが進みます。
また、血液は熱も運んでいますので、血流が体の隅々にまで行き届くと、冷え症の改善なども期待できるのです。
ビタミンEは、脳下垂体や副腎などの女性ホルモンの分泌に関わる臓器にも多く存在しており、女性ホルモンの分泌を助けています。
女性ホルモンのバランスが整うと、生理周期の安定だけでなく、PMS(月経前症候群)や更年期症状の緩和も期待できます。
それだけではなく、女性ホルモンは肌の調子を整える美肌のための重要な働きをしています。
女性ホルモンの働きを活性化するためにも、ホルモンバランスは大切ですし、それを助けるビタミンEは頼もしい栄養素です。
年齢不詳の女が摂っている!?「ビタミンACE(エース)」とは
「酸化」とはそもそも何なのでしょうか。
人は、呼吸や食事でとり込んだ栄養素を、酸素と結びつけてエネルギー化しています。
これを代謝と言いますが、この時に活性酸素という、強い酸化力を持つ酸素を作ります。
活性酸素は体に入ってきた細菌など悪影響をもたらすものを攻撃して体を守る役割をしていますが、増えすぎると正常な細胞も攻撃して老化を進めてしまうのです。
この活性酸素の攻撃を酸化と言います。
酸化とは、例えばリンゴを切って置いておくと切り口が茶色に変色したり、金属がサビる現象を言います。
人の体が「酸化」すると、しわやシミが増える、白髪が増える、視力が落ちてきた、骨が弱くなった、疲れやすくなったなどの変化が起こります。
見た目の変化だけでなく、体内にも影響します。
血管が酸化し傷ついてしまうと、動脈硬化や糖尿病などの原因にもなってしまいます。
ビタミンEは酸化しやすい成分で、周囲の細胞の身代わりとなって酸化されます。
細胞を酸化から守る役割をしているのです。
抗酸化作用に優れているビタミンは、他にもビタミンAとCがあります。
これら3つのビタミンの頭文字をとって、「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれます。
ビタミンACEは、それぞれ異なる場所で働きながら、お互いの働きを補い合い、互いに作用して効果を高め合い、より抗酸化作用を高めています。
3種類を合わせて摂ると、さらなる抗酸化作用が期待できます。
ビタミンEを効率的に摂る方法
ビタミンEはどんな食品に含まれているのでしょうか。
食品100g当たりの含有量で一番多いのは、緑茶、次にひまわり油、アーモンドなどのナッツ類と続きます。
油類では、他にはとうもろこし油や米ぬか油、大豆油などにも多く含まれています。
毎日の飲み物を緑茶に変える、揚げ物油をひまわり油やとうもろこし油に変える、なども継続してビタミンEを摂るコツかもしれません。
脂溶性ビタミンは、排出されにくく体内にとどめておくことができる反面、過剰になってしまう心配があります。
しかし、ビタミンEは尿に排出することができるため、過剰症の心配は比較的低い栄養素です。
ビタミンEの抗酸化作用を期待するためにサプリメントなどで積極的に摂りたいところですが、摂りすぎは吸収率を低下させます。
1日の摂取目安量は成人女性では6.0㎎※。サプリメントを利用する場合は目安量を守って摂りましょう。
※厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015年版)
まとめ
血流を促進し、女性ホルモンの分泌を助けるビタミンE。
また高い抗酸化力を持っているので老化の原因となる活性酸素に対抗して、全身の細胞の新陳代謝、つまり若返りを助けています。
年齢を感じさせない、いつまでも若々しく見える女性になるためには積極的に摂取したい栄養素の一つです。