ひと昔前までは軽視されていた食物繊維ですが、その研究が進むにつれ、生活習慣病の予防や、健康な腸内環境の維持に不可欠な成分として、注目を浴びるようになりました。
今や第6の栄養素とまで重要度がアップしている一方、日本人の食物繊維の摂取量は昔に比べて大きく減っています。
その原因として日本人の食生活の変化が考えられます。
ここでは食物繊維の大切さをもう一度認識し、効果的に摂る方法を紹介します。
食物繊維がスッキリさせる訳
人間の体にはいくつもの消化酵素が備わっています。
理科の授業でもお馴染みの、アミラーゼ、リパーゼなどといったものです。
食物繊維は、これらの消化酵素では分解することができない成分です。
そのため消化されることなく大腸までたどりつき、腸内でさまざまな働きをしています。
食物繊維の体内での働きを簡単に挙げてみましょう。
・腸壁を刺激することで、スムーズに排便が促進される
・腸内を通過する途中で、たくさんの水分を吸収し、便の量や状態を良くする
・腸内に棲みついているたくさんの細菌の働きをサポートして、腸内環境を良好にする
便秘の時は食物繊維をたくさん摂ろう!と言われるのは、このような働きがあるからです。
便秘が続くと、腸内で有害なガスが発生し、その有害物質は再び血液中に吸収されてしまいます。
有害物質が混ざった血液が全身を巡ることで、倦怠感、肌荒れ、口臭や体臭などを招き、さらに便秘が続くと大腸ガンのリスクも高まるので、早い改善が必要です。
食物繊維がたくさん摂れる食材はコレ!
便秘になりやすい人は、食生活に何かしらの問題があることが多いようです。
女性の場合、1日の食事から摂取する食物繊維は17g以上が目標とされています。
日頃の生活から食物繊維をたくさん摂るためにも、どんな食べ物にたくさんの食物繊維が含まれているのかを知っておきましょう。
100gあたりの含有量で、比較的量を摂りやすいものをご紹介します。
このような数字で見てみると、焼きのりや乾燥ひじき、きなこに含まれる食物繊維が意外に多いことに気づきます。
ごぼうやかぼちゃなどの食感に繊維質を感じますが、実はそれほどでもないことがわかりますね。
大切なのは続けること!食物繊維の摂り方
年々摂取量が低下している食物繊維ですが、1940年代の日本人の1日の摂取量は25g以上あったのに対し、2000年以降は15g以下まで少なくなっています。
これは、1日の目標摂取量に足りていないため、慢性的に食物繊維不足が続いていると考えられます。
大切なのは毎日続けることです。
日々の食事で手軽に改善できる方法を2つ挙げてみましょう。
毎日のご飯に食物繊維をプラス
主食となるお米も精製された白米になり、さらにパンやパスタなどの小麦粉を原料とした食事の回数も増えたこと、乾物や海藻がたくさんのおかずから、お肉がメインになったことが考えられます。
こんな食生活を改善することで、日々の食物繊維の摂取量は大幅にアップすることができます。
例えば毎日のご飯を玄米にしたり、白米にもち麦を混ぜて炊くのもおすすめです。
特にもち麦の原料である大麦は、100gあたりの量が9.6gと、精製された白米に比べて20倍もの食物繊維が含まれているので、かなり効果的です。
乾物を上手に利用しよう
また、メインの料理に野菜を添えるとして、もう一品加えるメニューには乾燥ひじき、切り干し大根、乾燥わかめなどの乾物を使ったメニューがおすすめです。
乾物は、天日干しをすることで長期間の日持ちが出来るだけなく、旨味や栄養価も大幅に増えます。
例えば切り干し大根は、生のものに比べて食物繊維は5倍、またカルシウムは2倍になるなど食物繊維以外の栄養価も高くなります。
乾物には健康や美容に効果の高い、ビタミンやミネラルがたくさん入っています。
昔の日本人が生み出した素晴らしい知恵なのですね。
サプリメントを活用しよう
毎日の食事で思うように食物繊維が取れない時は、サプリメントを常備しておくと心強いでしょう。
年末年始など外食が続いたり、仕事が忙しい時などとても便利です。
実は2種類ある?!食物繊維の注意点
食物繊維は毎日きちんと続けることが大切なので、食事作りを無理しないためにも、サポートしてくれるサプリメントは頼れる存在です。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2つの種類があります。
含まれる食品や腸内での働きも違ってくるので、それぞれの特徴をみてみましょう。
水溶性食物繊維
水に溶けるタイプの食物繊維です。
腸内で水分を吸収して膨らむことで、便の量が増え、やわらく排泄しやすい状態にします。
糖質の吸収を抑え、血糖値の急上昇を抑制する働きや、中性脂肪やコレステロールの吸収を阻害するなど、中高年の生活習慣病にも良い役割を果たします。
含まれる食品……オクラ、山芋、わかめ、昆布、モロヘイヤなどのネバネバした食品
不溶性食物繊維
繊維状の筋があり、水に溶けずにほとんど消化しないまま腸まで達します。
水分を含んで膨らむと、腸の運動を刺激してスムーズな排泄を促します。
また腸の中を移動する過程では、胆汁酸や有害物質、コレステロールなどを吸収しながら排泄する働きもあります。
腸が水分不足の状態になると、返って便秘につながるのでたくさんの水分を補給しましょう。
含まれる食品……バナナ、レタス、セロリ、豆類、穀類など
まとめ
食物繊維にはどんな役割があり、どのような食品に含まれているかがわかりました。
水溶性、不溶性と2種類の食物繊維は、どちらもバランスよく、いろいろな食材から摂取することが大切です。
便秘は習慣化しやすく、下剤などを使った無理な排便は返って腸の働きを鈍くします。
腸が自分の力で動いて排泄できるようにするために、食物繊維を日々たくさん摂るように心がけましょう。