私たちは睡眠中にコップ一杯以上の寝汗をかきます。
それは質のいい睡眠をとるために、体温を下げる生理現象の一つなので、悪いことではありません。しかし、夜中に目覚めるほどの大量の寝汗の場合、体のバランス機能が乱れている可能性が考えられます。
特に40代以降の女性には、ストレスやホルモンの影響もあり、夜中に着替えが必要という方も少なくありません。
毎日快適な睡眠をとるために、どんな工夫ができるのか、その原因やおすすめ対処法についてご紹介します。
大量の汗をかいてしまう原因とは
通常の寝汗の量よりも大量の寝汗をかいてしまう場合、その原因として考えられる4つを探ってみましょう。
ストレス
仕事も家庭も、現代の女性はとても忙しい毎日を送っており、その中でたくさんのストレスと闘っています。
そのストレスにより自律神経のバランスが崩れ、交感神経と副交感神経の切り替えが上手にできなくなってしまい、寝ている間も興奮した状態が続くことで、たくさんの寝汗をかくことがあります。
お酒を飲む習慣
肝臓で分解されたお酒は、時間が経つと汗・尿となって、体の外に排出されます。
さらに、アセトアルデヒドという有害物質が発生するため、これを排出させるためにも、体はたくさんの汗をかこうとします。
いくつかの病気が潜んでいる可能性
バセドウ病や肝機能障害などの場合、たくさんの寝汗や体の倦怠感などが主な症状です。
どうしようもないだるさが続く時は、一度病院に行って診察してもらうと安心でしょう。
更年期障害による女性ホルモンのバランスの乱れ
更年期に入ると、徐々にエストロゲンの分泌量が少なくなり、これまでエストロゲンによって守られていた女性の体は、少しずつ不調が現れ始めます。
イライラや気分の落ち込みなどの精神的なゆらぎや、倦怠感、ホットフラッシュ、頭痛、めまいなどといった体の不調など、さまざまです。
この症状の1つに睡眠の質が低下したり、寝つきが悪くなる、夜中に大量の汗をかいてしまうといった症状も多く見られるのです。
ストレス、お酒、女性ホルモンといった3つの要因は、多くの女性に当てはまる条件と言えますね。
次の項目で、女性ホルモンが寝汗の原因になるメカニズムについて、さらに詳しく触れていきましょう。
夜中の眠りの邪魔をする女性ホルモンのメカニズム
更年期に入った女性の症状のひとつにホットフラッシュが挙げられますが、夜中の寝汗もこの症状の一環と考えられています。
ホットフラッシュは「血管運動神経症状」といわれ、更年期でとても有名な症状です。
昼間に突然、滝のような汗をかくこともあれば、夜だけ大量の寝汗をかく、昼も夜も関係なくホットフラッシュが訪れることもあり予測不可能です。
気温に関係なく起こるので、真冬でも汗が止まらず、周囲の目が気になって外出できない、という方もいるほどです。
大量の汗が出てしまうのは、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンの分泌が減少し、自律神経のバランスが乱れることが主な原因です。
卵巣から女性ホルモンを分泌する、という機能を司っているのは脳の視床下部という場所です。
年齢とともに、エストロゲンの量が減少していることを視床下部が理解できず、ホルモンを分泌するように何度も指令を出すうちに、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
ホルモンバランスが崩れ、脳が興奮して交感神経が優位な状態が続いていることが、大量の寝汗という症状につながっていると考えられています。
寝汗をかきやすい場所からの体調チェック法
パジャマやシーツまで、汗でぐっしょりになるほどの寝汗は快適な睡眠を妨げ、翌日の目覚めがスッキリしないですよね。
ここでは、特に寝汗をかきやすい場所を知ることで、より詳しく原因を探ってみようと思います。
頭皮や首回り
更年期のホットフラッシュは、頭皮から大量の汗が流れ落ちる、ということも良くあるケースです。
また首回りにベタベタとした寝汗を描く場合、体の水分調節機能が低下し、体に疲れが蓄積しているのかもしれません。
無理せずゆっくり休養をとりましょう。
背中
背中にはたくさんの汗腺が存在しているので、普段からよく汗をかく方の場合は背中にもたくさん寝汗をかくようです。
交感神経が優位になり続けている事によって、体温調節が低下していることから、たくさんの寝汗をかいている可能性が高いので、ゆっくりと自律神経のバランスを整えましょう。
下半身
子宮の周りに熱が集まりやすくなり、下半身にたくさんの寝汗をかいてしまいます。
生理が近づくと、下半身に寝汗をかきやすいという方もいるようです。
女性ホルモンのうち、プロゲステロンの影響による可能性が高いので、ホルモンバランスをしっかりと整えることが大切です。
経験者の声から考える、効果的な寝汗対処法
更年期中の寝汗によって快適な睡眠が取れない、という悩みはどうやって解決すれば良いのでしょうか。
まず自律神経を整えるため、ストレス解消としてお風呂にゆっくりと入る事が効果的です。
子宮や卵巣をしっかり温めることは、女性ホルモンを分泌する意味でもとても大切ですので、できるだけシャワーで済ませずにきちんと湯船に浸かりましょう。
また、女性の体のバランスを整える漢方などを処方してもらうのも、良い方法です。
漢方は、効果が出るまで時間がかかるというイメージがあるかもしれませんが、意外とすぐに効果を実感できる方も多いようです。
同じように婦人科外来を受けてホルモン補充療法をうけると、自分にぴったりの治療法で辛い症状が緩和できるので、専門医の元を訪れるのも1つの選択肢です。
すぐにできる対策としては寝る前にコップ一杯の水を飲む、暑くなったらすぐに飲めるように枕元に水を用意しておくと体がクールダウンできます。
また通気性のよい敷きパッドを引く、肌に触れる部分は吸水性の良いタオルを引くなど、寝具に寝汗対策をすると熱のこもり方が違うでしょう。
まとめ
ホルモンバランスが崩れると、脳が興奮し交感神経が優位な状態が続くので、大量の寝汗をかいてしまうということがわかりました。
更年期は、体力が落ちやすかったり、体調が優れない日が続くことが多く、とてもデリケートな時期です。
十分な良い睡眠をとることで、翌日に疲れを残さないことが大切です。
しっかりと寝汗対策をして、安眠できる環境を作りましょう。