年齢を重ねると、睡眠の不安定さを感じてはいませんか?
寝付けない、すっきりしない、眠りが浅いなど状況は人それぞれです。
体には元々、一日を快適に過ごし、夜は自然と快眠に入る体内リズムが備わっています。
ストレス、女性ホルモンや自律神経の乱れが原因でリズムが狂うと、心地よく眠りにつくことができません。
安定した睡眠を導くホルモン、「セロトニン」を上手に分泌するコツを学びましょう。
幸せホルモン「セロトニン」が快眠の鍵
セロトニンはノルアドレナリン、ドーパミンと並ぶ「三大神経伝達物質」です。
神経伝達物質とは、脳に入るいろいろな情報の伝達をする化学物質で、嬉しさや悲しみなどの感情が神経伝達物質によって作り出されます。
なかでもセロトニンは「幸せホルモン」とも呼ぼれ、ポジティブな感情や幸福感をもたらす役割があります。
つまり、セロトニンが多く分泌されていれば、自律神経が整い、心身バランスが安定している状態になるのです。
日中は元気に活動し、夜になると自然に眠くなり、ぐっすりと眠った後、朝にはまた元気いっぱいで目覚める、という健康的なサイクルを送るためには、セロトニンの分泌を多くすることが大切になります。
セロトニンが作り出すのが睡眠ホルモン「メラトニン」
セロトニンは一日の活力をパワーアップさせるホルモンであり、朝から夕暮れまで分泌し続けます。
セロトニンがしっかりと分泌された体は、夕方以降になると脳の松果体から「メラトニン」が分泌され始め、夜中にピークを迎え、朝方になると徐々に減少していきます。
メラトニンは「睡眠ホルモン」ともいわれ、体温をゆっくりと下げながら、心地よい入眠を促進する作用があるので、ぐっすりと眠るためには大変重要なホルモンとなります。
メラトニンは、セロトニンを材料に分泌されるため、日中の間、しっかりとセロトニンが分泌されていることが、メラトニンの分泌につながり、結果的に良い睡眠が取れることになります。
もちろん、日中だけでなく寝る前の過ごし方も大切です。
メラトニンは、パソコンやスマホなどの画面から出るブルーライトによって分泌を抑制されてしまいます。
ベッドに入る1~2時間前には、これらの機器をシャットアウトすることを心がけましょう。
セロトニンが溢れ出るような生活とは
女性は仕事や家族、日々の忙しさで慌ただしく日中を過ごしていますね。
多くの方が、いちいち幸福感を味わう暇もなく、夜を迎えるというパターンがほとんどかもしれません。
しかし、いかにしてセロトニンを増やすかが、良い睡眠のポイントとなるため、少しでも多く分泌するコツを知っておくことが大切です。
①体内時計は朝日をあびてリセット
太陽の光が、目の中の網膜に触れることで、セロトニンが活発に分泌されることがわかっています。
家やオフィスの照明の明るさは1000lx以下、店舗などの明るい場所でも1300lx程度なのに対し、太陽の光はガラス越しの室内でも2500lxもあります。
人間の体内時計は、24時間よりも長めにできているため、生活が乱れるとすぐに夜更かし型になってしまいます。
2500lx以上の明るい光を浴びると、体内時計がリセットされ規則正しい体に戻るため、夜になると自然に眠くなるリズムが整うのです。
朝起きたら、まずはカーテンを開け、太陽の光を体いっぱいに浴びましょう。
気持ちよく晴れた日、たまには朝のウォーキングはいかがですか?太陽の光を感じて、気持ちよく起きることが、その日の夜の快眠につながります。
※lx(ルクス)…光の照度のこと
②朝食をしっかり摂ろう
体のリズムの主になる体内時計ですが、加えて内臓や細胞など細かな箇所にも末梢時計が備わっています。
末梢時計は、朝起きて1~2時間以内に食べる朝食によってリズムが整います。
体内時計と末梢時計の2つのリズムが整うことで、体温や新陳代謝のバランスが取れるので、朝食をしっかり食べることで、日中、スムーズに活動できる体に仕上がるのです。
③リズム運動をする
セロトニンを活発に分泌させるために、リズム運動が効果的といわれています。
リズム運動は、同じリズムの繰り返しを行う運動です。
リズム運動とはウォーキング、水泳、サイクリング、ダンスなどです。
スタートしてから5~10分ほどで、セロトニンが分泌し始めるので、20分以上を目安に続けてみましょう。
④呼吸を意識する
無意識のうちに繰り返している呼吸ですが、ほんの少し意識するだけでセロトニンを多く分泌することができます。
リズム運動が大切なように、呼吸も一定のリズムを守り、腹式呼吸の容量で鼻から肺にいっぱいの酸素を吸い込み、ゆっくりと息を吐き切ります。
おへその下に軽く力をいれ、姿勢を正した状態で、この呼吸法を20分程度続けてみましょう。
セロトニンを作る栄養素「トリプトファン」
セロトニンは体の中で血液中に5%、脳に5%、残りの9割が腸内に存在しています。
そのため便秘がちなどで腸内環境が悪い場合は、しっかりとセロトニンが分泌されない可能性が高まります。
セロトニンをたくさん作り出すには、アミノ酸の一種であるトリプトファンを多く取ることがおすすめです。
トリプトファンは私たちの体内で合成することができない必須アミノ酸なので、多く含まれる食材であるチーズやヨーグルト、豆腐、するめ、煮干し、削り節、納豆などを積極的に食べることで摂取しなくてはなりません。
さらにトリプトファンを吸収を高め、消化を助ける栄養素がビタミンB6です。
赤みの肉、魚、バナナなどと組み合わせて、献立を考えると良いでしょう。
また、よく咀嚼することもリズム運動の一つです。
これらの食材で朝食をとり、良く噛んでいただきましょう。
まとめ
質の良い睡眠で、朝までぐっすりと眠るためには、朝から日中にかけてしっかりとセロトニンが分泌される体を作ることが大切ということがわかりました。
セロトニンは、好きな人やペットとのスキンシップや、恋愛のドキドキする気持ち、良く笑うことでも分泌が高まります。
何気ない時間をポジティブに楽しく生きることが、全てにおいてプラスの循環を生み出すことになり、未来の幸せにつながるのかもしれませんね。