緑茶のカテキン、赤ワインのアントシアニンなどのポリフェノール、トマトのリコピンなどの栄養素は、ファイトケミカルと呼ばれる植物の化学物質であり、健康や美容に役立ちます。
今回のテーマである「サポニン」も、その仲間。
疲れやすい、気分が落ち込むといった女性の体と心を楽にしてくれる効果があります。
40代を過ぎた女性を元気に導くサポニンについて、詳しく探ってみましょう。
サポニンってどんなもの?
ファイトケミカルは、植物の色素、香り、苦味、えぐみ、アクなどの成分に含まれています。
自分自身で動くことができない植物が、過酷な外的環境の中で生き抜いていくために、自ら作り出した自己防衛能力であり、植物が生きていくための知恵とも言えるでしょう。
強い日の光から守るための抗酸化力、外的から守るための苦味、えぐみや独特の匂いなどを植物自身に備えることで、長い歴史の中を生き抜いてきたのです。
その植物パワーの1つ、サポニンは大豆や高麗人参、田七人参、椿油などに多く含まれています。
大豆は煮ると洗剤のような泡がぶくぶくと出てきます。これがサポニンです。
サポニンには抗菌作用、殺菌作用、抗炎症作用などに加え、水と油を混ぜる働きがあることから、「天然の界面活性剤」として大昔からシャンプーや石鹸の代わりにも使われていました。
サポニンの「サポ」は、ラテン語で石けんを意味することから由来しています。
次の章では具体的にサポニンが体にとってどんな働きをするのか、掘り下げてみましょう。
若さの秘訣!サポニンの効果について
健康食品の中でも高級な和漢素材といえば高麗人参が代表格です。
高麗人参にはサポニンがとても多く含まれ、不老不死の媚薬とも囁かれていました。
古くは中国で2000年も前から希少価値が高く、裕福なごく一部の上流階級にしか手にすることができない貴重な存在でした。
日本には江戸時代に朝鮮人参やオタネニンジンという名称で輸入され、徳川家康が健康のために愛飲していたことは有名です。
サポニンの主な体への効果を挙げてみましょう。
①肥満の予防
脂質の吸収、蓄積を抑える働き。
②血流を改善し、悪玉コレステロールを下げる
血液の流れを良くし、血液中の脂質を分解して、コレステロールや中性脂肪などを減らす働き。
③高い抗酸化作用
体のサビ=酸化を防ぎ、過酸化脂質の生成を抑制する働き。
④免疫力アップ
ウィルスなど体に侵入した細胞や異変をパトロールし、攻撃するNK細胞を活性化する働き。
どれも中高年になると、一度は気になる悩みですね。
サポニンは、日本だけでなく、ヨーロッパやアジアでも古くから健康のために活用されていたのです。
サポニンが女性の疲れに役立つワケは?
体は年々基礎代謝が落ち、体力も無くなっていきます。
ちょっと無理をしても大丈夫だったはずが、何日も回復出来ず、しんどい毎日を送った経験がありませんか?
特に意識するのは、40代を過ぎた頃ではないでしょうか。
たっぷり睡眠をとったのに翌日も体がだるい、倦怠感が抜けないといった体調では、日常の家事や仕事をするのが億劫になってしまいます。
この時期の女性は、エストロゲンという女性ホルモンが徐々に減少しはじめるため、気づかないうちに体力が落ち、体調や気分が優れなくなることが多くなります。
特に自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスが保たれて正しく機能するのですが、エストロゲンの分泌が少なくなることで、2つの神経の切り替えスイッチがうまく働かなくなってしまい、バランスを崩してしまいがちです。
すると、ホットフラッシュやのぼせ、睡眠障害、倦怠感、イライラ、落ち込みなど、体のあちこちに影響が現れます。
サポニンは先程あげた4つの効果に加え、乱れてしまった自律神経を整える働きがあります。
女性ホルモンを調整する副腎皮質ホルモンの分泌を促進することで、これらのつらい症状を緩和する効果があります。
サポニンは、女性の元気を支える縁の下の力持ちというわけですね。
サポニンを摂る時に気をつけたいポイントは?
体調の不安定さが気になる方は、ぜひ、今日からサポニンを積極的に摂ってみましょう。
具体的に、どのように摂ればよいのでしょうか。
大豆から摂る場合
一番身近な食材としては、大豆に含まれる大豆サポニンです。
大豆サポニンは、ほとんどが大豆の渋みや苦味に含まれいます。
豆腐を作る過程では、その苦味や渋味で味が落ちてしまわないよう、サポニンを取り除いている場合もあります。
普段の豆腐料理に加え、大豆そのものを粉にしたきな粉できな粉牛乳を飲んでみてはいかがでしょうか。
また、乾物である高野豆腐はサポニンも豊富な上、ストックにも便利なので、毎日の食事に加えてみましょう。
高麗人参から摂る場合
あまり目にする機会のない高級食材ですが、高麗人参に含まれるサポニンはジンセノサイドという特有な効果を持ったサポニンです。
抗酸化作用が強いため、活性酸素を除去する効果が高く、美容や健康面で高い効果を発揮します。日本ではオタネニンジンという名称ですが、スーパーではあまり見かけることはありません。
韓国ではサムゲタンなどの料理に使われることが多く、一般にも売られていますが、価格も高価な上、調理法も少ないため、毎日の食材としては現実的ではありません。
サプリメントで摂る場合
高麗人参や田七人参など、手に入りにくい食材はサプリメントとして持っておくのがおすすめです。
普段の大豆食品に加えてサプリメントで補えば、さらに滋養強壮の効果もプラスすることができるでしょう。
この場合、必ず商品に記載されている適量を守ることが大切です。
過剰摂取には十分に注意しましょう。
まとめ
現在のところ、サポニンの1日の推奨量に特に規定はありませんが、1日100mgを目安に摂取するのが安全と言われています。
体に疾患があり病院にかかっている場合や常用している薬がある場合、必ず医師の確認をとった上、始めるようにしましょう。