長い間夫婦でいると、男女の意識どころか、相手への興味、会話さえも少なくなったと感じたことはないでしょうか。
女性の社会進出、年金制度の変化など、世の中の夫婦を取り巻く条件も大きく変わり、離婚というハードルが低くなった今、どうしたら夫婦仲良く幸せな老後を送ることができるのでしょうか。
多くの夫婦の相談を受けてきた恋愛カウンセラーの小日向るり子先生に、熟年夫婦の上手な付き合い方、気持ちの向き合い方などを教えていただきました。
私、離婚したほうがいいの?まだやり直せるの?
熟年離婚は平成28年の時点で離婚率の17%を占め、何と21万組以上の夫婦が、長年連れ添った夫との離婚という決断をしています。
離婚に踏み切るか否かは、お互いの気持ちが大きく左右します。
夫婦が幸せに暮らして行くために、今の関係が修復できるのかどうかを改めて考えてみましょう。
あなたが夫に不満を持った原因は、大きく分けてどちらに当てはまるでしょうか?
修復できる夫婦とは
具体的に相手に治して欲しい部分がすぐに出る夫婦は修復可能です。
例えば「趣味の○○に費やす時間をもう少し家庭やパートナーに向けて欲しい」「家事の手伝いをして欲しい」等です。
それは逆にいうと、その部分が改善できれば一緒にいたいと思えるものがあるということ。
こういったケースは意外とその不満を相手に伝えておらずに悶々として、一人で結論を出したり諦めてしまっている場合が多いです。
しかし何年一緒にいる夫婦でも、思うことは言葉にして相手に伝えなければ修復はありません。
離婚をした方がいい夫婦
50代になってもDV、モラハラ、ギャンブル、浮気、借金癖が治らない人ははっきり言って一生治りません。
離婚しましょう。
パートナーがそれに該当するかわからない場合は専門家や専門機関に相談してください。
多くの夫婦関係の「今」と「その後」を見てきた小日向先生だからこと、はっきりと修復不能なケースがわかるのでしょう。
夫婦の関係が悪化している原因が、相手の治らない癖や生活習慣であれば、一度は良好になったと思っても、将来的に同じことを繰り返す可能性があるのですね。
一方、修復できる可能性のある夫婦は、気持ちのすれ違いが根本の原因のようです。
相手への不満ばかりに心がとらわれてしまっているのではないでしょうか。
次の項目で、具体的な気持ちの切り替え方を先生にお聞きしましょう。
やり直せるならやり直したい…!妻・夫それぞれどこに気を付けるべき?
離婚という選択肢が、必ず幸せにつながるわけではありません。
お互いに歩み寄ることで、修復できるならまずは試みることが大切です。
妻側、夫側に分けて心がけるポイントをアドバイスいただきました。
妻として見直すべき改善点は?
離婚を現実的に考えてしまうと、脳は離婚原因、つまり相手の「嫌な部分」に焦点が向いた状態になります。
一度ついた思考の癖というのは意識して修正しないとその方向を向いたままです。
ですので、やり直すと決めたのなら、その焦点を「相手がいてよかった部分」に向けなおすことが必要。
なんだかんだ言っても夫が毎日働いてくれるから日々生活できる等、あたり前すぎて見落としていたことはありませんか?
そういったことに再度意識を向けてみてください。
夫として見直すべき改善点は?
前述、妻側から心がけるポイントと同様に、夫側も意識をして「妻がいてよかった部分」に思考の焦点の向きを変えることが必要なのは言うまでもありません。
またその際、紙に「妻がいなくなったら困ること」を羅列し、その右に「それが続いたら予測される自分の未来」を書き出して可視化するやり方も有効です。
男性の脳はロジック的に理解すると納得する傾向がありますので、このように段階的に書き出すやり方がおすすめなのです。
「●●●」はやっぱりマジックワード?修復の鍵を握る言葉とは?
もう一度夫婦を良好にするために、お互いに気持ちを持ち直そうと思ったら、お互いの共通認識として「こんなことを意識して生活してみよう!」ということを実践してみましょう。
小日向先生に、夫婦関係を修復できるキーワードを教えていただきました。
マジックワードは、ずばりパートナーに「感謝の気持ち」を持ち、それをきちんと相手に伝えることです。
・食事を作ってくれてありがとう
・お給料、ありがとう
・家事をしてくれてありがとう
その一言だけでしたらどんなに口下手な人でも言えますよね。
「ありがとう」という言葉を口に出していると、現状に対する肯定的な感情が醸成されていきます。
幸せとは他人との比較の中にはありません。
幸せな状態とは「現状に満足している」という状態のことです。
ないものを嘆き、欲しいものを渇望するのではなく、ともに人生を過ごすパートナーに「ありがとう」というマジックワードを多用してください。
この言葉は修復への鍵です。
まとめ
夫婦の会話が少ない、夫に興味がない生活を送っていると、相手の良い部分があたりまえになっているということがわかりました。
あたりまえのことに改めて感謝をし、気持ちを伝えることで、さらに相手をもっと大切にしようとする次の気持ちが生まれるのですね。
その気持ちこそが、唯一無二のパートナーであり、長年の苦楽をともにしたかけがえのない相手との良い関係の基本となるのです。
離婚という選択肢は、どの夫婦も一度は考えたことがあることでしょう。
しかし自分自身もできる努力、気持ちの見直しなど、出来ることをしてからでも決して遅くはないのです。