食べすぎ・飲みすぎの胃腸薬の成分として、有名なキャベジン。
実はビタミンUの別名で、キャベツから発見されたことが名前の由来です。
年末年始の暴飲暴食が多くなる季節に摂りたいイメージですが、食欲が落ちやすくなる夏にもとても効果的な成分です。
口当たりがよく、さっぱりした野菜に多く含まれるビタミンUは、弱った胃腸にやさしい栄養素。
まだまだ続く夏に負けないために、ビタミンUで夏バテ対策しておきましょう!
ビタミンUの働き
ビタミンUは、体の中でいったいどのような働きをするのでしょうか?
主な働きとしては、胃の中での消化をサポートする役割であり、そのパワーは医薬品にも利用されるほど高いものです。
①胃酸の分泌を抑制する
胃は食べ物を消化するために、強酸の性質をもった消化液である胃酸を分泌して、胃の中に入ったさまざまな菌を殺菌しています。
しかし、胃酸が多く出すぎてしまうと、胃の内壁が傷つき、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になってしまいます。
ビタミンUの「U」とは、潰瘍を意味する「ulcer」の頭文字からとったものです。
潰瘍は、強い酸性の刺激がある胃酸によって胃の組織が剥がれてしまい、内部組織がえぐれたような状態になる疾患で、強い痛み、胸焼け、吐き気やもたれなどの症状が発症します。
ビタミンUには、胃酸の分泌をコントロールして胃の内壁を守ってくれる作用があります。
②胃の粘膜の代謝を促進
ビタミンUには、胃の粘膜細胞の血行を良くして、壊れた細胞を修復する働きがあります。
お酒や脂っこい食事から胃の粘膜を守る作用があるため、暴飲暴食しがちな年末年始や飲み会の前にビタミンUが含まれた胃腸薬を飲むことで、胃のトラブルを未然に防ぐ効果が期待できるというわけです。
③弱った胃のトラブルを回復
室内外の気温差や、日々の疲れやストレスが蓄積することで、暑い夏や残暑にかけて胃腸の機能が低下して、不調を感じる方が多くなります。
痛みを伴うようなトラブルにならないためにも、ビタミンUを意識した食生活を送ることで、胃にかかるストレスを緩和し、丈夫な胃にすることができます。
ビタミンUがたくさん含まれている食べ物は?
ビタミンUといえば、発見された元になったキャベツが代表的ですが、意外にも他の食材にも大変多く含まれているものがあります。
その種類と100gあたりの含有量などをチェックしてみましょう。
・キャベツ…350μg
・ブロッコリー…590μg
・アスパラガス…400μg
・大根…260μg
・ピーマン…180μg
ビタミンUは、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科の植物に多く含まれ、野菜の他には牛乳や青海苔にも含まれていることがわかっています。
ビタミンUの上手な食べ方
ビタミンUは水溶性の性質を持つ栄養素なので、食べ方にも一工夫することが大切です。
せっかくの栄養素が流れ出てしまわないよう、いくつかのチェックポイントを確認しておきましょう。
・水につけておく時間はなるべく短く
・熱に弱いため、できるだけ生で食べる
・スープや煮込み料理は、煮汁ごといただく
・炒める時は最後に入れて、加熱時間を短く
ビタミンUは熱を加えると壊れてしまうため、加熱して食べるブロッコリーよりも、生で食べられるキャベツから食べるのが、最も効率良く摂取できるというわけです。
生のままでたくさんの量を食べることができない場合は、浸み出した栄養素が溶け込んでいるスープに調理して、汁までしっかりいただきましょう。
芯の部分には食物繊維が豊富に含まれているので、細かく刻んでスープにいれるのがおすすめです。
まるごとキャベツの活用法!
最近はスーパーでカット野菜や売られていて、とても便利ですが、水洗いや殺菌を繰り返して衛生状態を保っている分、栄養価は下がっている場合が考えられます。
キャベツは一番外側の色の濃い部分に多くの栄養素が集まっているので、ぜひ丸ごと一つ買いたいところです。
しかし、そんなにたくさんのキャベツ、どうやって食べきろうかと気が重くなってしまいますね。
そこで無駄にならないキャベツの保存方法をご紹介します。
①1~2週間なら冷蔵庫で保存
キャベツの基本的な保存法は、まず芯をくり抜いて、水を含んだキッチンペーパーを詰めることです。
これは同じ形状をしたレタスなどにも役立ちます。
キャベツ自体は、寒冷地で栽培される野菜のため、冷蔵庫での保存には適していますので、保存袋に入れれば1、2週間もつでしょう。
カットしてしまうと、切り口から黒ずんで痛み始めてしまうので、外側の葉から一枚ずつ剥がして使うことがポイントです。
②冷凍保存は一手間かけて
キャベツをさっと水洗いし、ざく切りにした状態で軽く水気をきって保存袋にいれて冷凍します。
生のままのシャキシャキ感はなくってしまいますが、スープや焼きそばやチャーハンの具などには使えます。
シャキシャキ感を残したい時は、さっと湯がいてから冷凍するのがコツです。
水気をよく切って、保存袋の空気はしっかり抜いて冷凍しましょう。
冷凍とはいえ、家庭の冷凍庫ですので、1ヶ月以内には使い切るようにしましょう。
まとめ
夏の暑さは、食欲と同時に体力も奪います。
つい冷たいものや、喉ごしの良いもの、、水っぽいものばかりを食べたくなりますが、それでは胃腸に負担がかかり、夏バテを起こす原因となります。
ビタミンUが豊富なキャベツは、味にクセもなく、どんな料理にも合うので毎日食べても飽きがこない食材です。
生で食べるだけでなく、餃子やお好み焼き、味噌汁の具材としても毎日形を変えて、食卓に並べてみてはいかがですか。