ムシムシとした暑さで体が疲れやすい夏。
お腹がスッキリしないとますます不快感がアップしますね。
便秘は寒い時期の冷えからなるイメージですが、暑い時期にもお通じが悪くなる女性はとても多くいます。
いつもと変わらない生活をしていても、この時期に便秘になってしまうには理由があるのです。
鍼灸師の足立美穂先生に夏の便秘の特徴や、改善できるおすすめの漢方などについてお聞きしました。
夏の便秘、いつもの便秘とはなにがちがうの?
毎日水分をとっているはずなのに、なぜ夏の暑い時期は便秘に悩む女性が増えるのでしょうか?
足立先生に夏の便秘の特徴についてお聞きしました。
「通常に起こる便秘と、夏に起こる便秘では大きく異なることがあります。
夏に起こる便秘の原因は、熱さで汗が出て体の中の水分が少なくなることが考えられます。
体の中の水分が汗で出ていますので、胃腸の不快な症状を伴わないのが特徴的です。
通常の便秘は、胃腸の機能が低下した方に起こりやすいので、お腹が張る・ガスが出る等の症状が現れます。夏のみ便秘になりやすい方はこれらの症状が伴いにくいです。」
便秘が続くとお腹の張りや違和感が気になりますが、夏の便秘は比較的その症状を感じにくいことから、自分の便秘に気づいていないかもしれません。
そう言えば数日間お通じがないという場合や、いつもより量が少ないなど、隠れ便秘の方も要注意ですね。
夏の便秘の原因はなに?
東洋医学の観点から見た場合、夏の便秘になりやすい4つの原因を足立先生に教えていただきました。
①体の中の水分不足による便秘
体の中の水分が不足して便秘になる。体内の水分が不足してくると便がかたくなり便秘になり易いです。
②内臓の冷えによる便秘
夏は、冷たい飲食を過剰に取られる方が多いので内臓が冷えてしまい腸の動きが悪くなり、その結果便秘になります。
③食欲不振による便秘
暑さバテによる食欲不振。暑さが続くと食欲が低下し、バランスのとれた食事がなかなかとれない分便秘になりやすいです。
④冷房のかけすぎによる便秘
冷房のかけ過ぎによる便秘。27~28度の設定で空調を効かせている間は大丈夫ですが、それ以下の温度に長い時間入っていますと体が冷えてきますので、腸の動きが悪くなり便秘になります。
夏の便秘はご遠慮したい! 自分でできる対策とは
便秘が続くことによる不調は、下腹部の不快感だけではありません。
肌の調子も悪くなり、肌荒れが起きたり吹き出物ができたりする原因にもなります。
血行が悪くなると、だるくなったり肩がこったりとさまざまな不調が。
自分でできる夏の便秘対策として、どんなことをしらたらよいのでしょうか。
「対策として、水分を沢山取ることはとても有効です。
目安は一日1.5リットル程度。これは常温より温かくして飲んでください。
現代人は胃腸を冷やし過ぎです。年寄りの冷や水という慣用句は江戸時代のいろはかるたから出てきましたが、この冷や水は井戸水をさしている様です。
江戸の方は井戸水でも冷たい水だと認識していたことが伺えます。
冷飲を沢山すると、胃腸機能まで低下してきますので夏の飲み物は温かくして摂取することを心がけてください。
ただし、夏の炎天下におられる時は、体温を下げる意味でも冷飲してもらって大丈夫です」
鍼灸師直伝!便秘対策のツボ&漢方
最後に足立先生に、夏の便秘によく効く漢方と、便秘対策によいツボを教えていただきました。
それぞれ便秘の原因によって、適するものが変わっていきます。
自分の今の症状に一番あうものを見つけ、夏の便秘を改善しましょう。
①体の中の水分不足による便秘
おすすめ漢方:麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)
麦味参顆粒は、夏には欠かせない漢方です。夏の疲れや夏バテしたとき、熱中症の予防にもおすすめです。
水分不足になりがちな夏の体を潤して、心臓、肺、胃腸の働きをサポートしながらエネルギーを補っていきます。
おすすめのツボ:中かん・天枢(ちゅうかん・てんすう)
②内臓の冷えからくる便秘
おすすめ漢方:婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
体の冷えを改善し、血液の流れを良くする効果のある漢方です。
生理痛、貧血、更年期など女性の不調には適しています。
おすすめのツボ:中かん・天枢(ちゅうかん・てんすう)
③食欲不振による便秘
おすすめ漢方:健胃顆粒(けんいかりゅう)
体力が落ちて胃腸の働きが弱っているとき、食欲や胃の状態を回復させる漢方です。
おすすめのツボ:中かん・滑肉門(ちゅうかん・かつにくもん)
④冷房のかけすぎによる便秘:婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
内臓の冷えと同じく、体の冷えを改善する婦宝当帰膠で滞った血流を改善しましょう。
おすすめのツボ:中かん・天枢(ちゅうかん・てんすう)
【ツボの位置】
・中かん:胃の下あたりにあるみぞおちとヘソの間にあるツボです。
・天枢:ヘソから指幅3本横に行った場所に左右対称にあります。
・滑肉門:ヘソから指幅3本分外側で、さらに指幅1.5本分上にあるツボです。
まとめ
ただじっとしているだけでも汗が流れるほど暑い夏は、いつも通りの水分補給では体の水分が不足してしまうことがわかりました。
また暑いからといって冷たいものをたくさん飲んでしまうと、思った以上に体は冷えてしまうのですね。
日常のちょっとしたことを見過ごしてしまうことが、夏の便秘を引き起こしているのです。
女性の体はとてもデリケート。一年を通して、体を冷やさない工夫をすることが大切です。