【分子栄養学から見た】ケトン体ってなに?ケトン体を使う体質になるには

2018. 08. 30
吉川圭美
監修:吉川圭美 栄養士・栄養カウンセラー・ライター
5年前、取材で出会った分子整合栄養医学(オーソモレキュラー)に魅了され資格を取得。「毎日を楽しく、ゴキゲンに過ごすための栄養」をキーワードに、栄養のおもしろさをわかりやすくアウトプットするため活動中。

糖質制限という言葉が多くの人に知れ渡るようになってきました。糖質制限と縁が深いのがケトン体

最近、さまざまなメディアで話題になっているようです。

しかし、まだまだなじみの薄いワードではあるので「それって一体なに?」という人も多いのかもしれません。

そこで今回はケトン体にフォーカスしてみましょう。

そもそもどんなものなのか、身体のなかでどんな風にはたらいているのか、なぜこんなにも話題となっているのか、など、ひも解いていきましょう。

糖質制限を意識するなら知っておくべき!ケトン体とは

ケトン体とは何なのでしょう?

簡単に言うと、ケトン体とは脂肪から作られたエネルギー源のこと。

アセトン、アセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸の3つの物質の総称となります。

特別なものではなく、肝臓で作られ、誰の身体にもごく当たり前に存在している物質です。

意外に知られていないかもしれませんが、私たちが食べた糖や脂肪は、そのままエネルギーになっているわけではありません。

細胞のなかで、身体で使うことのできる専用エネルギーに一旦作り替えられ、使われます。

この、専用エネルギーを作る方法には糖から作る方法と、ケトン体から作る方法があります。

食べ物に含まれる糖は腸で吸収され、血液中に送り込まれます。

食べた糖の量が多い場合、血液中の糖の量は一気に増加します。

そんなときはすい臓から出てくるホルモン、インスリンの出番。

糖が全身でスムーズに使われるようにするほか、余った分は筋肉や肝臓、あるいは体脂肪に変えてストックしていきます。

そして時間がたち、エネルギーが足りなくなってきたときは、まずは肝臓などにしまわれた糖を使いはじめます。

それがなくなると、身体は筋肉のタンパク質を壊して、そこからブドウ糖を作り出そうとします。

実は糖は、自分の身体で作ることができます。

ただ、脂肪がしっかりある場合は話が別。

筋肉を削るより先に脂肪からケトン体を作り出し、エネルギーとして調達します。

断食などの経験がある人も多いかもしれませんが、長時間食べなくても倒れずにいられるのは、ケトンエンジンが動いているからです。

ちなみに糖質制限ダイエットは、この「エネルギーは糖から先に使われる」という特性を活かしたもの。

現代の食生活では、パンやパスタ、おにぎりなど糖の多い食べ物をとることが多く、なかなか脂肪が使われるところまでいきません。

そこで糖をとる量を抑えることで、ダイレクトに脂肪をエネルギーとして使うことができる状態をつくるというわけです。

実はお腹がグーッと鳴ったときにはケトン体がグンと増えることがわかっています。つまりケトンエンジンに切り替えている、というサインでもあるのです。

ここで注目したいのが、糖と脂肪がストックできるエネルギー量の差

糖がストックできる量は200~300g程度であり、だいたい800~1200キロカロリーといったところ。

一方で脂肪はもっと多め。

たとえば体重50㎏で20%、つまり10㎏の脂肪があると考えたら、なんと9万キロカロリー!

50代女性の一日の女性の摂取カロリー・1650キロカロリーに当てはめてみると、50日は生きていけるエネルギー量となります。

さらに糖と脂肪では、作るエネルギー量も違います

たとえば糖の一種、ブドウ糖1つから身体で使える専用エネルギーが36個できるのに対し、ケトン体なら129個※。

なんと3倍以上!

つまり、とても効率がいいエネルギー源であるということです。

※パルミチン酸の場合

PURA VIDAの糖質制限記事はこちら

ケトン体を使える体質になるとどんなメリットがあるの?

いま大注目のケトン体ですが、さまざまなメリットがあることもわかってきています。

ケトン体を作り出せる身体であるということは、血液のなかの糖の量がコントロールできているということ。

血液の糖が多くなると、さまざまな病気の引き金となります。

というのも、余った糖は血管などのタンパク質とくっつき、変性させて、老化をうながす物質、AGEsを作り出してしまうから。

これが血管で起これば動脈硬化に、骨なら骨粗鬆症に、脳ならアルツハイマーに、と全身のあらゆる場所でトラブルを引き起こしやすくなります。

もちろん肌も無関係ではありません

コラーゲン線維が破壊されるとたるみやシミ、くすみの原因に。

つまり表面的なエイジングを加速させることにもつなることに…。

ケトン体を使える体、つまり血糖値の上り下がりが起こらない体は、AGEsを抑えることにつながります。

身体に入ってくる糖の量が抑えられるので、糖尿病予防にもひと役かってくれます。

さらに食後の眠気やイライラが抑えられる、集中力が増し子どもの知能アップに役立つ、メンタルが安定する、アトピーや花粉症がやわらぐ、眠りの質が上がる、虫歯や歯周病を予防できる、がんを予防できる、など実に多彩です。

腸の調子がよくなる方も。

タンパク質をしっかりとることにつながるため、肌ツヤがよくなる、爪が強く硬くなる、髪にコシが出るといったうれしい変化も見逃せません。

目指せ体質改善!今日からできる1ステップ

ケトン体を作り出せる体質になる方法はシンプル。

糖質の量を抑えることです。

ご飯やパン、麵、おやつ、砂糖類、果物、じゃがいもなど糖の多い食べ物を減らし、代わりに肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質、ケトン体の材料、脂をしっかりとります。

野菜や海藻でビタミン、ミネラルも忘れずに。

とはいえ、現代人の食生活の多くはごはんやパンなど糖質がメイン。

長年いまの食生活になじんでしまっている人には、とても難しいのは正直なところ。

そこでスタートしやすいのが主食を抜くこと。

どうしてもごはんが食べたいなら、おかずや葉野菜をたっぷりしっかりとったあとに、満足感が出たところで一口、程度にしておきましょう。

ハードな糖質制限ができなくても、とる糖質の量を減らすことは、血糖コントロールという意味では意義があると私は感じています。

ちなみに、「脳の栄養は糖質だけだから、糖をとらないのはよくないのでは?」との疑問がある人があると思いますが、実はそんなことはありません。

脳はケトン体もエネルギーとして使うことができるのでご安心を。

さらに前にお伝えしたとおり、タンパク質から糖をつくる機能も備えています。

まとめ

現代人にとってどうしても過剰になりやすいのが糖。

いつでもどこでも食べやすいエネルギー源ではありますが、とりすぎによって美容や健康を損ねてしまうのは気になります。

とはいえ、いきなりハードな糖質制限をすれば、どうしても息切れしやすくなるものです。

「今日はチョコをやめてナッツにしよう」といった日々の積み重ねを続け、持続的な工夫を増やしていくことで、少しずつ、自分流のやりかたを作りあげてはいかがでしょう。

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監修:吉川圭美 栄養士・栄養カウンセラー・ライター
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